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「セラミック苗」現地検討会総括

1.はじめに(セラミック苗の開発の歴史)
セラミック苗のアイデアは既に2000年には存在しました。
営業部の一室で近場のスギ・ヒノキをセラミックに挿し、発根を確認したのが始まりです。
セラミックで発根させた観葉植物を、セラミックごと土に挿して育てる方法は既に実証済みで、これを山行き苗に応用したいと考えました。
これが実現すれば、植栽の効率が格段にあがり、かつ、植栽者の優劣に関係なく成果があがるのではと考えたのです。

アイデアのまま数年が過ぎました。
ヒノキの挿木をしている(できる)生産者さんが皆無に等しかったため、会社として事業のレベルに開発を持ち上げるのは困難でした。
2007年、偶然速水林業さんを訪れたところ、独自で優良な苗木生産をしており、ヒノキも挿木で生産していることを知り、
共同開発によるセラミック苗試験生産が始まりました。速水さんの技術力は素晴らしく、当年で挿し木によるスギ・ヒノキ苗の生産開発は成功したのです。
第一号のセラミック苗は、速水さんの所有林に植栽され、活着・成長を確認しています。

はじめて皆様に「セラミック苗」の案内を差し上げたのは2008年のことです。
主に試験研究機関の皆様に案内しましたが、思った以上の反応がありました。
2009年には、初めて試験的に出荷を開始します(大半は100本レベルの試験的供給です)。
生産上の問題も浮き彫りになり、「病虫害苗」「未発根苗」の出荷等、対策する必要に迫られました。
逆に、想定外の利点も明らかになりました。(出荷期間の短縮・コンパクトな梱包・運搬の簡便性)

2010年3月、近畿中国森林管理局の方より、生産依頼がありました。
これが、この後の近畿中国森林管理局管内での「低コスト造林 現地検討会」に繋がります。
2010年秋には兵庫森林管理署 2011年春には和歌山署で「セラミック苗」の現地検討会が開かれました。
2011年秋には京都森林管理事務所、山口森林管理事務所、2012年春には岡山森林管理署で同様の検討会が開かれました。

最初は小さなアイデアにすぎなかったセラミック苗ですが、ここまでそのアイデアを推し進めることができました。
それも、速水林業さん、最初の試験販売に協力いただいた皆様、広大なフィールドを提供いただき検討会を開催いただいた
近畿中国森林管理局の関係者の皆様、また、様々な場面で評価・ご助言をいただいた皆様のおかげと、
感謝いたしております。

最後に、アイデアの段階からご相談に乗っていただき、助言・励ましをいただいた、四国森林管理局のO氏には特に感謝申し上げます。
O氏の存在がなかったら、このアイデアは膨らむことも無く、世にでることも無かっただろうと思います。
2.現地検討会でわかった(確認できた)スギ・ヒノキ「セラミック苗」のメリット
【植栽関係】
・急傾斜地でも700本/ha・日植えることができる(植栽が容易である)
・植えた後の活着が良好であること
・軽く、植栽時の運搬がとてもしやすいこと(裸苗、ポット苗、マルチキャビティコンテナ苗との比較)
【物流関係】
・納品荷姿が非常にコンパクトであり、1箱に大量に詰めることができる
・大量納品でも、梱包数が非常に少ない(裸苗、ポット苗、マルチキャビティコンテナ苗との比較)
・一度に大量の苗木を現場まで運びこむことができる
【生産関係】
・スギ・ヒノキとも、半年で出荷が可能である(3月の予定数量確認・挿木→9月以降出荷可能)
・省スペースで大量の苗木生産が可能
3.現地検討会でわかった(確認できた)スギ・ヒノキ「セラミック苗」の課題
@生産完了した苗木の在庫・保存→年度をまたいだ苗木は根も成長してしまい、出荷不可。
A根の制御(@に関係)
B植栽後の成長の追跡調査
4.「セラミック苗」と低コスト造林(低コスト再造林)
【セラミック苗単独で低コスト造林は成り立たない】

セラミック苗だけでは低コスト造林につながりません。確かに作業面での効率はあがるので、植栽コストは下がるかも知れませんが、ただそれだけです。
これまでの再造林の方法に適用するだけでなく、「セラミック苗」の利用を含めた新たな再造林の方法を模索しないと、低コスト造林には繋がりません。

【皆伐・植栽同時発注(近畿中国森林管理局)】
その一例が、近畿中国森林管理局で試行的に実施を始めた、「皆伐・植栽一括発注方式」(山口森林管理事務所にて実施)です。
従来は、皆伐と植栽は個別に発注され、そのためコスト増しの傾向にありました。
この方式では、@植付けが簡単なコンテナ苗を使用し地拵えをまず省き、A初期の下刈を省くことで、再造林のコストを削減します
コンテナ苗の特徴を活かし、コスト削減に繋げるアイデアだと言えます。
また、近畿局ではhaあたりの植付け本数も2000本/haと従来の3000本から減らし、更なるコスト削減をおこなっています

【皆伐・植栽同時方式(スミリン方式)】
住友林業フォレストサービスは、上の近畿局の方式を更に進めたコスト削減に取り組んでいます。
まずは、@小規模林の団地化により効率を高め、A皆伐にあたり集材用の架線を活用し、植栽用の資材(苗木等)を運びあげます。
また、B林地残材もチップやペレット、火力発電用の燃料等に活用し収入を上げます。そして、C皆伐と同時に苗木を植栽。その際、勿論地拵えは行いません。
Dhaあたりの苗木の植付け本数は、1500本/haとすることで更なるコスト削減につなげます。

このように、「セラミック苗」単体では実現しない低コスト造林ですが、再造林の方法を工夫することで低コストに繋がるのではないかと考えます
5.獣害と低コスト造林(低コスト再造林)
【獣害対策無くして低コスト造林無し】

悲しい現実ですが、獣害に阻まれ成林を放棄した再造林地は無数にあります。
「植える義務はあるけど、成林させる義務はない」と言う言葉は今も耳から離れません。
悪意は無く、それだけ現実が厳しいと言うことなんでしょう。シカの害があるので伐らない(林業しない)とは、最近聞いた言葉です。
獣害対策の手は出尽くしたと言う意見も散見します(頭数制限を主張される方の意見でした)。頭数制限が可能ならそれでも構いません。
とにかく、獣害対策無しには、低コスト造林は語れないと言えます。

当社はツリーシェルターを提案してきました。面で守るのではなく、単木で守る発想です。
高いと言われてきましたが、安価なツリーシェルターも開発しました(PSS)。
従来の造林手法に当てはめるとまだ高いと言われる方もいるでしょう。
しかし、是非、発想を少し変えてみて欲しい。
「本当にその植栽密度で植えなければならないのか。思い切って減ては駄目なのか。」
「本当に毎年下刈しなければならないのか。ツリーシェルターの機能を活用し、下刈の回数を減らしたら駄目なのか。」
発想を少し変えてみていただくだけで、低コストが見えてくると信じて、私たちはツリーシェルターを提案しています。